障泥烏賊(アオリイカ)は、北海道南部以南、インド洋、西大西洋の温帯や熱帯の沿岸から近海に分布する。胴長は35cm以上になる。エンペラ(ひれ)が胴の全長に及ぶ点はコウイカ類に似るが、コウイカ類特有の石灰質の甲を持たない。4~6月ごろ、産卵のため岸近くの藻場に来遊する。「ばしょういか」、「みずいか」など多くの地方名がある。
透明な身が美しく、肉質は柔らかいが弾力に富み、さらりとした甘みがある。甘みを感じるアミノ酸のグリシン、アラニン、プロリンなどの量がイカの中で最も多く、科学的に美味しいことが立証されている。漁獲量が少なく、高級すしネタの一つ。寿司ネタとしては2kg前後のサイズのものが最良とされる。見た目より固いイカの身に隠し包丁を施し、食べやすさと甘みを高める工夫はすし職人の腕の見せ所だ。塩とすだちで提供されることが多い。
【アオリイカの基本データ】
分類:ツツイカ目ヤリイカ科アオリイカ属
学名:Sepioteuthis lessoniana Férussac in Lesson,1832
地方名:クツイカ(富山県)、ミズイカ(四国地方、瀬戸内地方、九州地方)、アオイカ/バショウイカ(静岡県)、モイカ、シロイカ(沖縄県)、アキイカ(京都府)
由来:障泥とは、泥をよけるための馬具のこと。鞍の下に掛ける布のことで、烏賊のエンペラが似ていることから、この名が付いた。