小肌は出世魚で、関東では4~5cmの幼魚を「シンコ」といい。7~10cmぐらいを「コハダ」。13cm程度を「ナカズミ」。15cm以上になると「コノシロ」と呼ぶ。東京湾で獲れる小肌は有名で、波が穏やかなため身がふっくらして、骨も柔らかい。
小肌(小鰭)は鮪と並ぶ江戸前寿司の看板ネタだ。大きさや脂の乗りなどを見極め、塩をふって、しばらくおいて(塩締め)から酢で締める(酢締め)などの仕込みにすし職人の腕が試される。やわらかな身を噛むたびに光物の旨さと香りが口の中に広がる一品だ。締め方が浅く、生の魚に近いやさしい味のものから、塩も酢も効かせたインパクトの強いものまで、寿司店によって個性が出る。だた、焼くと異臭がし、煮ても小骨が気になるとあって、酢で締めて寿司として食べる以外に調理方法がない。
【小肌の基本データ】
分類:ニシン目ニシン科コノシロ属
学名:Konosirus punctatus (Temminck and Schlegel,1846)
地方名:ベットウ(石川県)、マヅナシ(大阪府)、ニブゴリン(鳥取県)、アシチン(沖縄県)、関西地方や九州地方では、大型のものは東京同様コノシロと呼び、中小型のものをツナシと呼ぶ。また、新潟県では大型のものをギュンネコ、小型のものをツナシ、高知県では小型のものをドロクイなどと呼ぶ。
魚名の由来:つやつやと輝く魚体を子供の肌にたとえ、「小肌」としたのが由来とされる。